聞き書 滋賀の食事 鯖街道朽木谷の食より
朝、いろりの縁にもちを立てかけておくと、むっくりと焼けるので、とち、よもぎ、きびなどの入ったもちを並べかけて焼く。この焼きもちに黒砂糖や味噌を挟み、一尺くらいに切ったこんぶで包む。それを竹の皮で包んでから、薄綿を入れて縫った袋に入れ、腰にくくりつけて学校や山へ行く。
体温でもちが昼になってもやわらかく、こんぶの味が移り、上等のかまぼこだと子どもたちは喜ぶ。学校の帰り道に、こんぶを少しずつ食べるので一〇日ももたない。
出典:橋本鉄男 他編. 日本の食生活全集 25巻『聞き書 滋賀の食事』. 農山漁村文化協会, 1991, p.284-284