聞き書 岐阜の食事 美濃(御嵩)の食より
■晩飯――冷やしうどん、なすの丸焼き
うどんをする日は、うどん換えをしておく。小麦を収穫すると、車屋(水車で粉をひく製粉所)へ小麦を全部納め、切符と換えておくが、その切符とご膳かご(竹製のふたと手のついたかご)を持って車屋へ行き、切符を干しうどんと換えてくる。
うどんはゆでて冷水を張ったどんぶりに入れ、おろししょうが、炒りごま、ねぎのみじん切りなど、薬味をたくさん入れたたまり汁につけてすすりこむ。暑い夏には最高のごちそうで、食いこみが多くなる。
夏は、なすをよく食べる。朝のおつゆの実、一夜漬、ゆでて味噌あえ、しぎ焼き、てんぷらなどにする。とくに塩もみは、何もおかずのないときなど手早くできるので、よくする。おろししょうがとたまりをかけて食べるが、ごはんが一杯余分に食べられるほどおいしい。ときには、薪を焚いたくどの中で、なすを丸焼きにする。
写真:夏の晩飯
上:こうこ、なすの丸焼き(ねぎを添える)/下:うどん、つけ汁(薬味はねぎとごま)
出典:森基子 他編. 日本の食生活全集 21巻『聞き書 岐阜の食事』. 農山漁村文化協会, 1990, p.179-182