1日5食で田植えをがんばる――日常の食生活

連載日本の食生活全集

2024年06月20日

聞き書 岐阜食事 美濃(御嵩)の食より

晩飯――冷やしうどん、なすの丸焼き
うどんをする日は、うどん換えをしておく。小麦を収穫すると、車屋(水車で粉をひく製粉所)へ小麦を全部納め、切符と換えておくが、その切符とご膳かご(竹製のふたと手のついたかご)を持って車屋へ行き、切符を干しうどんと換えてくる。
うどんはゆでて冷水を張ったどんぶりに入れ、おろししょうが、炒りごま、ねぎのみじん切りなど、薬味をたくさん入れたたまり汁につけてすすりこむ。暑い夏には最高のごちそうで、食いこみが多くなる。
夏は、なすをよく食べる。朝のおつゆの実、一夜漬、ゆでて味噌あえ、しぎ焼き、てんぷらなどにする。とくに塩もみは、何もおかずのないときなど手早くできるので、よくする。おろししょうがとたまりをかけて食べるが、ごはんが一杯余分に食べられるほどおいしい。ときには、薪を焚いたくどの中で、なすを丸焼きにする。

写真:夏の晩飯
上:こうこ、なすの丸焼き(ねぎを添える)/下:うどん、つけ汁(薬味はねぎとごま)

 

出典:森基子 他編. 日本の食生活全集 21巻『聞き書 岐阜の食事』. 農山漁村文化協会, 1990, p.179-182

関連書籍詳細

日本の食生活全集21『聞き書 岐阜の食事』

森基子 他編
定価3,850円 (税込)
ISBN: 9784540900044
発行日: 1990/5
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5上製 384頁

飛騨は山の恵み、美濃は川の恵み豊かな国。米と繭の国だが、雑穀や山菜、木の実も大切な食糧。味噌・漬物・どぶろくなど発酵食品がよく発達している。山・川の恵みを受けた八つの地区の暮らしと食を収録。
田舎の本屋で購入

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