聞き書 和歌山の食事 和歌浦沿岸の食より
小麦粉は、米のかわりにおじやに重宝に使われる。魚のだしと季節の野菜で煮たおじやは、質素だけれども味わい深い土地の味をつくり出し、あまりうまみのない素材が生かされる。
春、秋、冬の昼食には、干したえびやはぜ、いりこのだしに野菜を入れたおじやをつくる。小麦粉を水で溶き、一口くらいのだんごに丸めて沸騰したおつゆに入れ、青みを添える。あつあつを茶わんによそって食べる。
麦飯はよばすのに手間がかかるが、おじやは手軽につくれるところがいい。
写真:秋のおじや
小麦粉だんご、そうめん、さつまいも、ねぎ入り、味噌仕立て。
出典:安藤精一 他. 日本の食生活全集 30巻『聞き書 和歌山の食事』. 農山漁村文化協会, 1989, p.112-113