さつまいものほっしい

連載日本の食生活全集

2020年11月20日

聞き書 静岡の食事 中遠水田地帯の食より

さつまいもの切干しのことである。
さつまいもは粉質の品種を使う。大釜にせいろうをのせて、さつまいもを蒸したのち、冷めないうちに皮をむく。それから、針金の線をわたした自家製のいも切り器で厚さ三分くらいに切り、棚に広げて日なたに干す。細いさつまいもは薄切りにしないで、丸干しにすることもある。白い粉がふくように干したものは味もよい。快晴の日が続く冬の季節の仕事である。
この切干しはおやつでもあるし、乾燥すれば夏までも腐ることはないので、保存食にもなり、また、売れば現金収入にもなる。ふつうそのまま食べるが、少し焼いて食べると香ばしくておいしい。

 

出典:大石貞男 他. 日本の食生活全集 22巻『聞き書 静岡の食事』. 農山漁村文化協会, 1986, p.220-221

関連書籍詳細

日本の食生活全集22『聞き書 静岡の食事』

大石貞男 他編
定価3,038円 (税込)
ISBN:9784540860638
発行日:1986/10
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5 384頁

静岡県は日本の食文化上、特異な位置を占める。大井川を境に県内の食文化が二分され、それが日本の東西の食文化の違いにほぼ重なる。民俗学上も貴重な静岡の食事の全貌。
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