きゅうり、なす、じゃがいもをたっぷりと――日常の食生活

連載日本の食生活全集

2024年07月23日

聞き書 千葉食事 利根川流域の食より

次から次へと仕事が控えている季節だが、田の草取りをしながらたにしやたん貝(からす貝)をとる。腰に下げた袋がたちまちいっぱいになる。たん貝の大きなものが三つ四つあると、家族全員のおかずになる。
夕飯――麦飯、しじみのおし、なすのしぎ焼き、たにしの油味噌
麦飯を炊く。新麦で炊く麦飯はおいしい。おしの実は、洗濯に行ったときに利根川でとれたしじみである。しじみを土用に食べると黄疸にならないといわれる。おかずはなすのしぎ焼き、たにしの油味噌、なすの酢味噌あえなどである。夏の土用近くにはうり漬も食べられるようになる。
子どもらがかえるをとってくると、ばあさんが皮をむき、醤油と玉砂糖で煮てくれる。鶏のささ身のようにさっぱりしている。

写真:夏の夕飯
土用のころはしじみのおしをよく食べる。なすのしぎ焼き、うりの塩漬もおいしい。

 

出典:高橋在久 他編. 日本の食生活全集 12巻『聞き書 千葉の食事』. 農山漁村文化協会, 1989, p.290-291

関連書籍詳細

日本の食生活全集12『聞き書 千葉の食事』

高橋在久 他編
定価3,850円 (税込)
ISBN: 9784540890024
発行日: 1989/6
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5上製 384頁

黒潮が打ち寄せる房総半島は日本でも屈指の好漁場。いわし・かつおに代表される海の幸と利根川の魚、台地の作物が食膳にのぼる。太巻ずしはこの地の伝統食。女性が築いた食の営みを記録する。
田舎の本屋で購入

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