聞き書 千葉の食事 利根川流域の食より
次から次へと仕事が控えている季節だが、田の草取りをしながらたにしやたん貝(からす貝)をとる。腰に下げた袋がたちまちいっぱいになる。たん貝の大きなものが三つ四つあると、家族全員のおかずになる。
■夕飯――麦飯、しじみのおし、なすのしぎ焼き、たにしの油味噌
麦飯を炊く。新麦で炊く麦飯はおいしい。おしの実は、洗濯に行ったときに利根川でとれたしじみである。しじみを土用に食べると黄疸にならないといわれる。おかずはなすのしぎ焼き、たにしの油味噌、なすの酢味噌あえなどである。夏の土用近くにはうり漬も食べられるようになる。
子どもらがかえるをとってくると、ばあさんが皮をむき、醤油と玉砂糖で煮てくれる。鶏のささ身のようにさっぱりしている。
写真:夏の夕飯
土用のころはしじみのおしをよく食べる。なすのしぎ焼き、うりの塩漬もおいしい。
出典:高橋在久 他編. 日本の食生活全集 12巻『聞き書 千葉の食事』. 農山漁村文化協会, 1989, p.290-291