聞き書 島根の食事 江の川流域の食より
へかなべ(鉄製の平なべ)に、干しあゆを人数に合わせて並べ、上に大根、ごぼう、しゃくしな(体菜)、ひらぐき(広島菜)などをのせる。大根は食べよく切り、ごぼうは大きめのささがきにし、菜っぱ類は下ゆでして一寸くらいに切って入れる。醤油と少しの赤砂糖で味つけして煮、終わりにねぎを入れる。豆腐やこんにゃく、なすびや香茸などがあれば、入れると上等である。
似た料理に、くじらべかがある。これは干しあゆのかわりに、くじらの白皮(脂の多い皮)を入れたものであるにゃく、なすびや香茸などがあれば、入れると上等である。
どちらも冬の寒い夜につくり、家族がつつき合って食べる。
出典:島田成矩 他. 日本の食生活全集 32巻『聞き書 島根の食事』. 農山漁村文化協会, 1991, p.172-173