春祭りに欠かせない、いも赤飯とこん巻き―晴れ食・行事食

連載日本の食生活全集

2021年04月02日

聞き書 福井の食事 奥越山間の食より

■春祭り
上庄村森山では、四月十八日は春祭りがある。
春祭りのころは、まだ新鮮な野菜がとれないので、ごちそうをつくる材料は、それほど十分にあるわけではない。つぐらで貯蔵してあった大根、にんじん、ごんぼなどを使い、あぶらごんぼ(きんぴらごぼう)、揚げ(厚揚げ)とこんにゃくの煮しめ、ねぎぬた、身欠きにしんを芯にしたこん巻き、巻きずし、種いもをよったあとの里芋のころ煮(醤油味で煮たもの)、いも赤飯(里芋を入れた赤飯)、のっぺ汁などをつくる。しかし、こんなにつくらなくても、森山の人たちは「いも赤飯とこん巻きと酒さえあれば祭りはできる」という。

写真:春祭りのごちそう
左の膳:煮しめ、こん巻き、ねぎぬた、いも赤飯、のっぺ汁/右の膳:巻きずし、あぶらごんぼ、里芋のころ煮

 

出典:小林一男 他. 日本の食生活全集 18巻『聞き書 福井の食事』. 農山漁村文化協会, 1987, p.91-93

関連書籍詳細

日本の食生活全集18『聞き書 福井の食事』

小林一男 他編
定価3,038円 (税込)
ISBN:9784540870187
発行日:1987/06
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5 384頁

木の芽峠を境に嶺南と嶺北に分かれる福井県は越前と若狭の二国から成る。報恩講を開いては食を共にして絆を深めあう越前、海の幸と山の幸がともに食膳にのぼる若狭の国。
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