田植えがすむとしろむてもち、盆はぼたもち―晴れ食・行事食

連載日本の食生活全集

2021年07月15日

聞き書 鳥取の食事 伯耆山間の食より

盆(七月十四日から十六日)
盆は正月とともに一年を二分する区切りの時期で、医者払いや日用品、食品など貸借の清算をする。世話になった先へは砂糖とか干しうどんなどを持って礼に行く。
初盆を迎えた家には干しうどんを三把から五把くらい持っておまいりに行く。ごちそうになるのも、これらのものと、塩まんさく(塩漬のしいら)の焼きものなどである。また親のある者は、十四日の晩にさしさばを食べるならわしがある。
自分の家の仏壇には十三日、ぼたもち、うどん、そうめん、だんごのほか、とれたてのうりや枝豆、こしょうなど時節の収穫物、きゅうりやなすびでつくった牛馬を、ずいきの葉か、ふきの葉にのせて供える。
十六日の朝はきな粉だんごをつくり、仏壇の供えものと一緒に橋の上とか川端に置いて、仏を送る。このだんごを「送りだんご」という。

写真:お盆に供えるもの
きゅうりの馬、なすびの牛、ぼたもち、きな粉だんご、そうめん

 

出典:福士俊一 他. 日本の食生活全集 31巻『聞き書 鳥取の食事』. 農山漁村文化協会, 1991, p.295-296

関連書籍詳細

日本の食生活全集31『聞き書 鳥取の食事』

福士俊一 他編
定価3,038円 (税込)
ISBN:9784540910036
発行日:1991/10
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5 382頁

日本海側有数の漁港=賀路・境港のある鳥取県は、魚、えび、かに、貝と海の幸が多彩。磯場の夏泊海岸の海女漁は豊臣時代からの歴史をほこる。因幡の山間、伯耆富士=大山の山麓には山の幸たっぷりの食生活が。
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