聞き書 鳥取の食事 伯耆山間の食より
■盆(七月十四日から十六日)
盆は正月とともに一年を二分する区切りの時期で、医者払いや日用品、食品など貸借の清算をする。世話になった先へは砂糖とか干しうどんなどを持って礼に行く。
初盆を迎えた家には干しうどんを三把から五把くらい持っておまいりに行く。ごちそうになるのも、これらのものと、塩まんさく(塩漬のしいら)の焼きものなどである。また親のある者は、十四日の晩にさしさばを食べるならわしがある。
自分の家の仏壇には十三日、ぼたもち、うどん、そうめん、だんごのほか、とれたてのうりや枝豆、こしょうなど時節の収穫物、きゅうりやなすびでつくった牛馬を、ずいきの葉か、ふきの葉にのせて供える。
十六日の朝はきな粉だんごをつくり、仏壇の供えものと一緒に橋の上とか川端に置いて、仏を送る。このだんごを「送りだんご」という。
写真:お盆に供えるもの
きゅうりの馬、なすびの牛、ぼたもち、きな粉だんご、そうめん
出典:福士俊一 他. 日本の食生活全集 31巻『聞き書 鳥取の食事』. 農山漁村文化協会, 1991, p.295-296