聞き書 山形の食事 飛島の食より
島の花、かんぞうは、春早く葉が出て、六月に花が咲く。葉は、やわらかいうちにとってきざみ、わらびと一緒に漬けておく。冬の野菜不足の時期に塩出しして、味噌汁や粕汁に入れて食べたり、漬物として食べる。
花は六月に摘む。五、六本ずつ束にして、花が見えないほどきつい塩をふって漬ける。夏を通すので重石をしっかりする。
正月になると、何回も水をかえながら塩抜きして、三杯酢にする。冬の食卓に花の紅が映える。
昔から島の名物で、物交で地方へ出るときのみやげものにして、大変珍しがられている。
写真:飛島かんぞうの花漬
冬の食卓に紅の花を添えてくれる。わかめとの三杯酢。
出典:木村正太郎 他編. 日本の食生活全集 6巻『聞き書 山形の食事』. 農山漁村文化協会, 1988, p.255-255