かんぞうの花漬

連載日本の食生活全集

2021年11月11日

聞き書 山形の食事 飛島の食より


島の花、かんぞうは、春早く葉が出て、六月に花が咲く。葉は、やわらかいうちにとってきざみ、わらびと一緒に漬けておく。冬の野菜不足の時期に塩出しして、味噌汁や粕汁に入れて食べたり、漬物として食べる。
花は六月に摘む。五、六本ずつ束にして、花が見えないほどきつい塩をふって漬ける。夏を通すので重石をしっかりする。
正月になると、何回も水をかえながら塩抜きして、三杯酢にする。冬の食卓に花の紅が映える。
昔から島の名物で、物交で地方へ出るときのみやげものにして、大変珍しがられている。

写真:飛島かんぞうの花漬
冬の食卓に紅の花を添えてくれる。わかめとの三杯酢。

 

出典:木村正太郎 他編. 日本の食生活全集 6巻『聞き書 山形の食事』. 農山漁村文化協会, 1988, p.255-255

関連書籍詳細

日本の食生活全集6『聞き書 山形の食事』

木村正太郎 他編
定価3,038円 (税込)
ISBN:9784540880445
発行日:1988/10
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5 384頁

山形の「母なる川」最上川が結ぶ置賜盆地、村山の平野と山間、県北の最上、庄内平野。暮らしの柱にある米と結びついた山と海の幸のすべてを紹介。加えて、羽黒山修験道の食、酒田海船問屋の食を再現。
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