夕はんは、あったかいおきりこみや煮こみうどん―日常の食生活

連載日本の食生活全集

2022年01月17日

聞き書 群馬の食事 赤城南麓の食より

夕はん―煮こみうどんかおきりこみ、漬物
うどんの小麦粉をひくのは、おもに女衆の仕事である。水車の使える順番の日に二斗くらいずつひくが、半日くらいかかる。
うどんを打つのは、野良からあがってからで、まず最初に粉をこねてねかせておく。この間にへっついにうどんを煮こむ汁のなべをかける。ねかせておいたうどんをせいいっぱい力をこめて、手早く打ちあげる。早く夕はんにしなければならないので気があせる。娘のころから仕こまれているので手ぎわよく、たちまち打ちあげる。
寒い夜、赤城おろしのうなりを聞きながら、煮こみうどんやおきりこみ(幅広の手打ちうどんの煮こみ)を食べると、たちまちからだがあったまる。何杯もおかわりして食べる。
樺澤家では、夕はんも麦飯のときが半分くらいはあるが、一般では米を節約するため、一年中ほとんどがめん類で、忙しいときには、ねじっこ(すいとん)にする。粉を節約するために、ねじっこの中身(具)には、じゃがいもや野菜をたくさん入れる。

写真:冬の夕はん
煮こみうどん、白菜漬

 

出典:志田俊子 他編. 日本の食生活全集 10巻『聞き書 群馬の食事』. 農山漁村文化協会, 1990, p.221-223

関連書籍詳細

日本の食生活全集10『聞き書 群馬の食事』

志田俊子 他編
定価3,038円 (税込)
ISBN:9784540900051
発行日:1990/6
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5 384頁

かかあ天下に空っ風の上州は「粉もの王国」。「おきりこみ」の味は絶品で、夕食には"つるつる"の音が家中に広がる。みそまんじゅうやおやきも詳しく紹介。
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