聞き書 福島の食事 福島南部の食より
田植えが終わっても、春蚕のしまい(上蔟)、田畑の追肥、草引き、麦まとい(収穫)と農繁期が続く。
男の人は明け方の四時ごろ馬に荷鞍をかけ、馬に乗って朝露にぬれながら共同採草地へ行く。堆肥用の草を刈り、六把を馬につけ、自分は一把背負って、馬とともに歩いて帰る。堆肥をつくるには、夏草刈りが一番大切なのである。
女の人は屋敷まわりの草刈りをするか、堆肥をたんがら(背負いかご)に入れて畑に運ぶ。
■小昼飯―とうみぎ、またはゆでかんぷら
とうみぎ(とうもろこし)や、かんぷらをゆでて畑に持って行き、五時ごろ食べる。
馬も暑さで病気にならないように、毎晩川に連れて行って水浴びをさせ、はけでからだをこすってやり、馬屋に連れ帰って餌を与えてから、夜の食事となる。
写真:夏の小昼飯
ゆでとうみぎとゆでかんぷら。かんぷらには塩をつけて食べる。
出典:柏村サタ子 他編. 日本の食生活全集 7巻『聞き書 福島の食事』. 農山漁村文化協会, 1987, p.185-186