聞き書 鳥取の食事 因幡海岸の食より
しょうから(塩辛)にするのは、生きのよいしまめいか(するめいか)、しろいか、剣先いかなどである。一年間食べる量として、いか一五はいくらいを用意する。
いかははらわたを出し、胴も足も繊維に直角に細く切る。茶褐色のうる(肝)は袋から出す。うるは、いか三ばい分しか使わない。多く入れると渋みが出るからである。いかに倍量の塩を混ぜ、うるも混ぜ合わせ、つぼに詰めて保存する。
漬けて一か月くらいから食べはじめ、とり出すごとによく混ぜておく。ふつう一年くらいで食べきるが、二年ほどねかせたものはどろどろになり、生ぐさみが消えてこくが出る。酒のさかなにしたり、冬は大根のしょうから煮をつくったりもする。
地引網で五月ころとれるごまめいわしや、六月ごろ湖山池でとれるぬかえびでもしょうからをつくる。
出典:福士俊一 他編. 日本の食生活全集 31巻『聞き書 鳥取の食事』. 農山漁村文化協会, 1991, p.54-54