新米のごはんで力がよみがえる―日常の食生活

連載日本の食生活全集

2022年10月26日

聞き書 埼玉の食事 北足立台地の食より

夏に続いて、秋に収穫できる作物は豊富だから、相変わらずとりたての新鮮な材料で食事ができる。にんじん、ごぼう、里芋、八つ頭の新ものが食欲をそそり、そのうち新米も食べられる。農繁期でからだは疲れるが、朝から晩まで動きっぱなしなので、麦ごはんに味噌汁と漬物だけでも、食事がおいしくておいしくて、思いきり食べて働く。
夜―麦ごはん、味噌汁、さばの味噌煮、なすときゅうりの押し漬
新米がとれると、新米入りの麦ごはんを炊く。新米でつくる麦ごはんはおいしい。それに、ねぎと油揚げの味噌汁。おかずにさばの味噌煮をすると家族みんなが喜ぶ。
秋深くなり少し肌寒い晩は、けんちん汁にする。けんちん汁には、豆腐のほか、里芋かじゃがいも、にんじん、ごぼう、大根、油揚げなどが入る。油揚げはふつうの家ではけんちん汁に入れないが、田中家では店にたくさんあるので必ず入れる。食べるときに七味とうがらしをふっていただく。これがまたからだを温めてくれることになる。

写真:秋の夜飯
上:さばの味噌煮、押し漬(なす、きゅうり)/下:麦ごはん、味噌汁(ねぎ、油揚げ)

 

出典:深井隆一 他編. 日本の食生活全集 11巻『聞き書 埼玉の食事』. 農山漁村文化協会, 1992, p.172-174

 

関連書籍詳細

日本の食生活全集11『聞き書 埼玉の食事』

深井隆一 他編
定価3,850円 (税込)
ISBN:9784540910050
発行日:1992/2
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5判上製 384頁

「あさまんじゅうに昼うどん」は物日におけるきまりもの。小麦、さつまいも、狭山茶、深谷ねぎ、岡部の大根など自慢の作物もいっぱい。街道のうまいもの、鋳物工場の給食まで収録。
田舎の本屋で購入

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