いもの塩煮、たらのじゃっぱ汁で――日常の食生活

連載日本の食生活全集

2024年01月29日

聞き書 青森食事 津軽半島東部の食より

昼――いもの塩煮、かながしらの味噌煮、がっくら漬
雪の降る間は、男たちは沖に船を出すよりも漁具の手入れをする日が多く、わら仕事や寄り合いが日中の仕事である。女たちは家族の衣類や作業着の繕いをしたり、さぐり(裂織)を織って着物を仕立てたりする。また、赤フランケ(毛布のような生地)にネルの裏をつけ、綿を入れた作業着などを縫うこともある。
このように、冬は外での力仕事が少ないので、昼はいもの塩煮を食べることが多い。
いもは丸のまま皮をむき、三升なべに盛り上がるくらい煮る。おかずは、かながしらの味噌煮とがっくら漬である。冬は、たら、かながしら、たこ、ふくらげ(ぶり)、あぶらこ(あぶらめ=あいなめ)などの魚がとれるが、ふだんおもに食べるのは、たらとかながしらである。
子どもたちは、昼の弁当を持たず、家にもどってきて食べる。少し遅れると食べる分がなくなることもあるので、母親は子どもの分をとっておいてやる。

写真:冬の昼食
いもの塩煮、かながしらの味噌煮、がっくら漬

 

出典: 森山泰太郎 他編. 日本の食生活全集 2巻『聞き書 青森の食事』. 農山漁村文化協会, 1986, p.92-95

関連書籍詳細

日本の食生活全集2『聞き書 青森の食事』

森山泰太郎 他編
定価3,850円 (税込)
ISBN:9784540860324
発行日: 1986/8
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5上製 384頁

二つの藩の伝統を受けつぐ青森県は、二つの半島、三つの海、三つの山脈を頂く。特色ある六つの地域で海の幸・山の幸の四季おりおりのくらしと料理法をちみつに聞き書き。
田舎の本屋で購入

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