聞き書 青森の食事 津軽半島東部の食より
■昼――いもの塩煮、かながしらの味噌煮、がっくら漬
雪の降る間は、男たちは沖に船を出すよりも漁具の手入れをする日が多く、わら仕事や寄り合いが日中の仕事である。女たちは家族の衣類や作業着の繕いをしたり、さぐり(裂織)を織って着物を仕立てたりする。また、赤フランケ(毛布のような生地)にネルの裏をつけ、綿を入れた作業着などを縫うこともある。
このように、冬は外での力仕事が少ないので、昼はいもの塩煮を食べることが多い。
いもは丸のまま皮をむき、三升なべに盛り上がるくらい煮る。おかずは、かながしらの味噌煮とがっくら漬である。冬は、たら、かながしら、たこ、ふくらげ(ぶり)、あぶらこ(あぶらめ=あいなめ)などの魚がとれるが、ふだんおもに食べるのは、たらとかながしらである。
子どもたちは、昼の弁当を持たず、家にもどってきて食べる。少し遅れると食べる分がなくなることもあるので、母親は子どもの分をとっておいてやる。
写真:冬の昼食
いもの塩煮、かながしらの味噌煮、がっくら漬
出典: 森山泰太郎 他編. 日本の食生活全集 2巻『聞き書 青森の食事』. 農山漁村文化協会, 1986, p.92-95