聞き書 福岡の食事 筑紫平野の食より
田植えどきのおやつとして、手のはらだごをよくつくる。小麦粉を耳たぶくらいの固さにこね、ちぎって、手のはら(平)でぺたぺたとし、手のはらくらいの大きさでやや平べったくする。これをゆがき、浮き上がってきたらすくい、きな粉に黒砂糖を混ぜたものをつけて食べる。だごがぬくいので、黒砂糖が溶け、田のあぜで食べるととてもおいしく、田植えさん(出稼ぎで田植えをする人)たちも喜んでくれる。
黒砂糖を買いに行くのは子どもの役目である。がちがちに固まっているのを一斤とかいって、割って買う。お使いの途中で、こっそりねぶったり(なめたり)する。
出典:中村正夫 他. 日本の食生活全集 40巻『聞き書 福岡の食事』. 農山漁村文化協会, 1987, p.127-127