手のはらだご

連載日本の食生活全集

2020年05月29日

聞き書 福岡の食事 筑紫平野の食より

田植えどきのおやつとして、手のはらだごをよくつくる。小麦粉を耳たぶくらいの固さにこね、ちぎって、手のはら(平)でぺたぺたとし、手のはらくらいの大きさでやや平べったくする。これをゆがき、浮き上がってきたらすくい、きな粉に黒砂糖を混ぜたものをつけて食べる。だごがぬくいので、黒砂糖が溶け、田のあぜで食べるととてもおいしく、田植えさん(出稼ぎで田植えをする人)たちも喜んでくれる。
黒砂糖を買いに行くのは子どもの役目である。がちがちに固まっているのを一斤とかいって、割って買う。お使いの途中で、こっそりねぶったり(なめたり)する。

 

出典:中村正夫 他. 日本の食生活全集 40巻『聞き書 福岡の食事』. 農山漁村文化協会, 1987, p.127-127

関連書籍詳細

日本の食生活全集40『聞き書 福岡の食事』

中村正夫 他編
定価3,038円 (税込)
ISBN:9784540860775
発行日:1987/02
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5 384頁

玄界灘・有明海・周防灘の三つの海と、筑後川・遠賀川などの豊かな水にうるおう古代国家発祥の地・福岡の食は、ロマンと豊饒、篤き信仰心と伝統に育まれている。
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