どじょうのてんてこ

連載日本の食生活全集

2020年06月29日

聞き書 岡山の食事 中国山地の食より

七夕には、「どじょうのてんてこ」という、かけ汁を食べる。どじょうを生きたまま油で炒めるので、激しくはねる音がするところから、「てんてこ」の名がついたという。夕立がある日は水が濁っているので、家々からみな、そうきを持ってわれ先にとどじょう踏みにいく。土手を踏み、出てきたどじょうをそうきで受けるのである。早く踏みにいったほうがよくとれる。
水をかえて泥をはかせたどじょうを油炒めして、音がしなくなったら水を入れ、煮たたせないで、短冊切りしたなす、ささがけごぼう、小口切りのずいきいもやずいき、はしでくずした豆腐を加えてよく煮る。きざんだいり干しと醤油を入れ、ざく切りのねぎを散らして味をととのえる。ことことと長く炊くほどおいしい。
ごはんに添えて食べたり、うどんをゆでて、どじょうのかけ汁をかけて食べる。

 

出典:鶴藤鹿忠 他. 日本の食生活全集 33巻『聞き書 岡山の食事』. 農山漁村文化協会, 1985, p.297-298

関連書籍詳細

日本の食生活全集33『聞き書 岡山の食事』

鶴藤鹿忠 他編
定価3,038円 (税込)
ISBN:9784540850462
発行日:1985/12
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5 382頁

北の中国山地から南の瀬戸内の島々まで、多様な地形をもつ岡山の食は、あらゆる食素材がそろう日本の食文化の縮図であり、1年のうち60日は晴れ食・行事食という豊かさ。
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