聞き書 奈良の食事 奈良盆地の食より
米粉ともち米に、粗びきのまめのこ(わざわざつくるのではなく、こがらすで踏んだときにきれいな粉に搗ききれずに残ったもの)を合わせて搗いたもちである。
一晩水につけたもち米一升をこしきの下に敷き、その上に熱湯で耳たぶぐらいの固さにこねた米粉二升分をちぎってのせて蒸す。これを杵で搗き、まとまってきたころにまめのこ二合と塩を入れて仕あげる。必ず指の形をつけてにぎる。粉はつけない。
「日が長くなってきたし、こんごりでもつくろか」といって、春になると三臼ほど搗くが、搗いた半分は竹ざるに入れて近所に配り歩く。搗きたてはそのまま食べ、固くなると焼いて醤油をつけて食べる。粗いまめのこの香りが香ばしく、おいしいもちである。