聞き書 栃木の食事 日光山間(栗山)の食より
なまずのてんぷらは頭と骨をとってつくるので、残った頭と骨をだんごにする。
なまずの頭や骨は、なたでたたき台の上で粉々になるまでよくたたいたあと、細かい骨が残らないようにさらにすり鉢でよくすって大きなどんぶりに移し、うどん粉と麦味噌を加えてよく混ぜる。それを食べやすい大きさに大さじですくって、菜種油で揚げる。色は少々黒っぽいが、麦味噌の香りがして食が進む。年寄りや子どもでも喜んで食べる。大根おろしで食べるといっそうおいしい。
家によっては、豆腐の水気を切り、しらぢ(すり鉢)ですったものや、炭酸、卵をすり身に加えてつくる。
また、うなぎの頭や骨、ぎぎょっぱち(ぎぎ)、かたっけでつくっても、肉がしまっておいしいものである。
なまずのたたき台は、ふつうのまないたのような厚みの少ないものでなく、太さ一尺二寸以上の木を一尺二寸の高さに輪切りにした丸太で、できれば木はけやきがよい。
出典:君塚正義 他. 日本の食生活全集 9巻『聞き書 栃木の食事』. 農山漁村文化協会, 1988, p.266-266