吸いもの汁

連載日本の食生活全集

2021年02月24日

聞き書 佐賀の食事 玄界灘沿岸の食より

吸いもの汁は一年中四季の魚を使って昼飯につくるが、ことに、冬から春にかけてとれる大羽いわしの吸いもの汁は、とびきりである。
大なべに湯をわかし、大根やじゃがいもなど季節の野菜とともに、大きいいわしは二つ切り、小さいものはそのまま入れて炊く。醤油だけで色濃く味つけするが、色の濃いわりにはからくない。とれたての魚と野菜の味が溶けあっておいしく、何杯もおかわりする。具が多く、吸いもん皿といわれる深皿にたっぷりつけて、魚は引きあげてなめもの(醤油の実)につけて食べたりする。
時化て魚がないときはいりこでつくるが、味がもの足りない感じがする。

 

出典:原田角郎 他. 日本の食生活全集 41巻『聞き書 佐賀の食事』. 農山漁村文化協会, 1991, p.179-180

関連書籍詳細

日本の食生活全集41『聞き書 佐賀の食事』

原田角郎 他編
定価3,038円 (税込)
ISBN:9784540910043
発行日:1991/11
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5 384頁

稲作と茶と磁器発祥の地佐賀は、クリーク農業の地。佐賀平野の米とクリークの魚が食の基本。玄界灘と有明海という二つの海からは対馬暖流と干潟の恵みが四季の食膳をにぎわす。
田舎の本屋で購入

このカテゴリーの記事 - 日本の食生活全集
おすすめの記事