聞き書 石川の食事 金沢商家の食より
正月料理の向付に必ずつくられる。
幅広のこんぶはきれいにふきんでふいておき、たらこを一房に切って生のままをこんぶでゆるめに二巻きほどして、すげか竹の皮を細く裂いたもので三か所結ぶ。
なべにだしこぶを敷いて、醤油、酒、水を入れてわかし、こんぶで巻いたたらこを入れて、ことことゆっくり煮こむ。煮えてきたら、赤砂糖を加えてゆっくり煮あげる。
盛りつけるときは食べやすい大きさに切り、切り口が見えるように並べる。紅白のはべん(かまぼこ)、お多福豆、みかん、栗の甘露煮またはべろべろなどと一緒に、いろどりを考えながら盛りつける。
写真:正月料理の向付、たらこのこぶ巻き
出典:守田良子 他. 日本の食生活全集 17巻『聞き書 石川の食事』. 農山漁村文化協会, 1988, p.49-49