聞き書 鹿児島の食事 南薩摩漁村の食より
冬のはじめころになると、きびなごは最も脂がのってくるので刺身がよい。新鮮なきびなごを手開きにして、酢味噌で食べたり醤油で食べたりする。しかし、ふだんは忙しくて手開くひまがないので、ととさんの酒のさかなにたまに出したり、お客さんのときにつくるていどである。
きびなごは脂の多い魚なので古傷をひき出すとまでいわれ、たくさんは食べられない。
出典:岡正 他. 日本の食生活全集 46巻『聞き書 鹿児島の食事』. 農山漁村文化協会, 1989, p.83-83