かきもち

連載日本の食生活全集

2021年01月27日

聞き書 山形の食事 村山山間の食より

揚げせんべいの一種である。かきもちは二月の初午から三月の節句のころにつくる。ほかの時期につくると、かびやすかったり、割れたりして、なかなかうまくいかない。
もち米二升と大豆一合、赤砂糖少々、黒ごまや塩も少々用意する。
一晩水に浸したもち米を蒸して搗く。一方で、やはり水でもどしておいた大豆をみじんに切り、すり鉢ですってつぶし、生呉をつくる。呉とほかの材料を加え、さらに搗き、よく混ぜ合わさったところで、もち板にのしておく。少し固まりかけたころ包丁を入れ、できるだけ薄い切りもちにする。これをわらで編んで干す。一週間くらいからからに乾かして、できあがったものを保存する。
食べるときは炭火でゆっくり焼くか、ぬるめの油でゆっくり揚げ、最後に強火にして油を切り、揚げせんべいにする。生呉が入っているのと、温度をゆっくりかけることにより、大きく広がり、そりそりしてうまい。これもかかさたちの腕しだいである。

 

出典:木村正太郎 他. 日本の食生活全集 6巻『聞き書 山形の食事』. 農山漁村文化協会, 1988, p.83-83

関連書籍詳細

日本の食生活全集6『聞き書 山形の食事』

木村正太郎 他編
定価3,038円 (税込)
ISBN:9784540880445
発行日:1988/10
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5 384頁

山形の「母なる川」最上川が結ぶ置賜盆地、村山の平野と山間、県北の最上、庄内平野。暮らしの柱にある米と結びついた山と海の幸のすべてを紹介。加えて、羽黒山修験道の食、酒田海船問屋の食を再現。
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