輪切り汁

連載日本の食生活全集

2021年02月03日

聞き書 千葉の食事 九十九里海岸の食より

秋から冬の寒い日につくる味噌汁である。
大きい大根一本を三分くらいの厚さの輪切りにする。背黒いわしを三〇ぴきくらい用意し、頭とはらわたを除いて水洗いし、大なべに大根の輪切りとともに入れ、たっぷりかぶるほどの水を入れる。おたま半分くらいの味噌を加えて、ことこと煮る。醤油味の汁でもよい。
熱いところをふきふき食べる。わんに、ちんぴ(ふくれみかん〈小さくて香りのよいみかん〉の皮を干したもの)を少し入れると香りがよい。
宵越しにすると大根に味がしみてうまい。聖護院大根も甘みがあってやわらかく、宵越しの輪切り汁にはもってこいである。

写真:宵越しの輪切り汁 背黒いわしのだしをきかせ、輪切り大根を入れて。

 

出典:高橋在久 他. 日本の食生活全集 12巻『聞き書 千葉の食事』. 農山漁村文化協会, 1989, p.41-42

関連書籍詳細

日本の食生活全集12『聞き書 千葉の食事』

高橋在久 他編
定価3,038円 (税込)
ISBN:9784540890024
発行日:1989/06
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5 384頁

黒潮が打ち寄せる房総半島は日本でも屈指の好漁場。いわし・かつおに代表される海の幸と利根川の魚、台地の作物が食膳にのぼる。太巻ずしはこの地の伝統食。女性が築いた食の営みを記録する。
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