あけび茶、ふじ茶

連載日本の食生活全集

2021年04月13日

聞き書 広島の食事 芸北山間の食より

家族で飲む一年分の茶をつくるのに、山から若いあけびの葉と茎、ふじの葉をとってくる。
あけびの葉とやわらかい茎は長さ六分ばかりに切り、なべに入れて番茶を注ぎ、蒸し煎りをしていく。よくかき混ぜながら、まんべんなく煎りつける。水気がほぼなくなったら、むしろに広げて手でもんでいく。このとき手早くつぎつぎにもんでいかないと乾いてしまう。早くもむことと、よくもむのが香りのよい茶をつくることにつながっていく。
ふじの葉も、あけびと同じように蒸し煎りをする。ふだんは、あけび茶とふじ茶を混ぜ合わせて使っている。

写真:あけび茶とふじ茶
春、山からあけびの葉とふじの葉をとってきて、1年分の茶をつくる。

 

出典:神田三亀男 他. 日本の食生活全集 34巻『聞き書 広島の食事』. 農山漁村文化協会, 1987, p.293-293

関連書籍詳細

日本の食生活全集34『聞き書 広島の食事』

神田三亀男 他編
定価3,038円 (税込)
ISBN:9784540870668
発行日:1987/10
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5 382頁

"耕して天に至る"瀬戸内の島の味の基本はひしお味噌、広島湾のかきには「いろは48種」の料理。備北山地では日本海のわにが、芸北山間では石州からの魚が食卓を飾る。
田舎の本屋で購入

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