聞き書 広島の食事 芸北山間の食より
家族で飲む一年分の茶をつくるのに、山から若いあけびの葉と茎、ふじの葉をとってくる。
あけびの葉とやわらかい茎は長さ六分ばかりに切り、なべに入れて番茶を注ぎ、蒸し煎りをしていく。よくかき混ぜながら、まんべんなく煎りつける。水気がほぼなくなったら、むしろに広げて手でもんでいく。このとき手早くつぎつぎにもんでいかないと乾いてしまう。早くもむことと、よくもむのが香りのよい茶をつくることにつながっていく。
ふじの葉も、あけびと同じように蒸し煎りをする。ふだんは、あけび茶とふじ茶を混ぜ合わせて使っている。
写真:あけび茶とふじ茶
春、山からあけびの葉とふじの葉をとってきて、1年分の茶をつくる。
出典:神田三亀男 他. 日本の食生活全集 34巻『聞き書 広島の食事』. 農山漁村文化協会, 1987, p.293-293