ひな節句は白と緑の菱もち、しょうぶ節句は笹巻きで―晴れ食・行事食

連載日本の食生活全集

2021年04月27日

聞き書 鳥取の食事 因幡山間の食より

しょうぶ節句
男の子の初節句ともなると、嫁の実家や親せきなどからもらったのぼりやこいのぼりを庭先に立てて子どもの成長を願う。おこわ(赤飯)を蒸し、笹巻き(ちまき)、二段重ねの大きな丸もちのお供えなどにしょうぶの葉を添えて、お礼に配る。
この日は、子孫の繁栄を願って、ふき、みょうがたけの料理を食べるならわしである。また、しょうぶ、よもぎ、かやを小さく束ねたもので屋根をふき、同じものを入れたしょうぶ湯をたてて入る。
笹巻きは、食べた残りを天井につるして乾燥させておく。綾木家では、勝負ごと(運動会など)のある日の朝、いろりの熱い灰の中に突っこんで蒸し焼きにし、それを食べさせて送り出す。

写真:しょうぶ節句の笹巻き

 

出典:福士俊一 他. 日本の食生活全集 31巻『聞き書 鳥取の食事』. 農山漁村文化協会, 1991, p.94-96

関連書籍詳細

日本の食生活全集31『聞き書 鳥取の食事』

福士俊一 他編
定価3,038円 (税込)
ISBN:9784540910036
発行日:1991/10
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5 382頁

日本海側有数の漁港=賀路・境港のある鳥取県は、魚、えび、かに、貝と海の幸が多彩。磯場の夏泊海岸の海女漁は豊臣時代からの歴史をほこる。因幡の山間、伯耆富士=大山の山麓には山の幸たっぷりの食生活が。
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