聞き書 鳥取の食事 因幡山間の食より
■しょうぶ節句
男の子の初節句ともなると、嫁の実家や親せきなどからもらったのぼりやこいのぼりを庭先に立てて子どもの成長を願う。おこわ(赤飯)を蒸し、笹巻き(ちまき)、二段重ねの大きな丸もちのお供えなどにしょうぶの葉を添えて、お礼に配る。
この日は、子孫の繁栄を願って、ふき、みょうがたけの料理を食べるならわしである。また、しょうぶ、よもぎ、かやを小さく束ねたもので屋根をふき、同じものを入れたしょうぶ湯をたてて入る。
笹巻きは、食べた残りを天井につるして乾燥させておく。綾木家では、勝負ごと(運動会など)のある日の朝、いろりの熱い灰の中に突っこんで蒸し焼きにし、それを食べさせて送り出す。
写真:しょうぶ節句の笹巻き
出典:福士俊一 他. 日本の食生活全集 31巻『聞き書 鳥取の食事』. 農山漁村文化協会, 1991, p.94-96