聞き書 埼玉の食事 東部低地の食より
六月は、一家総出で大麦や小麦刈り、田植えとなり、どこの家でも、植えあげぼたもちを楽しみにがんばる。田んぼのかえるの声を聞きながら、毎日毎日野良仕事に精を出す。
■農あがり休日
さなぶりが終わると、二日間ほどの休みが耕地(集落)中で行なわれる。これまでの疲れをいやすつかの間の休日である。ひまにまかせ、いがまんじゅうや手打ちうどんをつくって食べる。いがまんじゅうは小麦まんじゅうと赤飯を一緒に蒸したもの。赤飯のもち米が栗のいがのようにまんじゅうにくっつき、まんじゅうの甘さと赤飯の塩気がなんともいえない味になる。
写真:農あがり休日やお祭りにつくる手打ちうどん
上:うどん、かて(なす、いんげん)/下:うどんのしたじ(なすの油炒め入り醤油の汁)と冷や汁(味噌味)
出典:深井隆一 他. 日本の食生活全集 11巻『聞き書 埼玉の食事』. 農山漁村文化協会, 1992, p.208-209