「泥落とし」は持ち寄り料理で夜通しにぎわう―晴れ食・行事食

連載日本の食生活全集

2021年06月18日

聞き書 山口の食事 長門山間の食より

泥落とし
地下の田植えが終わると、「泥落とし」といって部落いっせいの休日となる。この日は地下の男、女、年寄り、子どももみんなが当屋に集まり、持ち寄り料理で一日中楽しく「通夜」をする。押しずし、小豆ごはんのむすび、きな粉むすび、わかめむすび、おはぎ、じゃがいもの煮しめ、大根煮しめなど、料理はそれぞれがつくるので、同じものが重なることも多い。しかし、家により味が違うので、それがまた楽しみでもある。
田植えが無事終わるとかしわもちをつくり、親せき、手伝いの人に感謝の意をこめて配る。また、泥落としがすむと、どの家も嫁にかしわもちを持たせて里帰りさせる。

写真:「泥落とし」の持ち寄り料理
上:おはぎ、煮ごみ(たけのこ、じゃがいも、いり、黒豆)/下:小豆ごはんのむすび、きな粉むすびとわかめむすび、押しずし

 

出典:中山清次 他. 日本の食生活全集 35巻『聞き書 山口の食事』. 農山漁村文化協会, 1989, p.121-123

関連書籍詳細

日本の食生活全集35『聞き書 山口の食事』

中山清次 他編
定価3,038円 (税込)
ISBN:9784540890017
発行日:1989/04
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5 382頁

日本海、響灘、周防灘の三つの海に囲まれる山口県は、西日本の陸海交通の要衝。維新以来、歴史を動かしてきた地の人々の暮らしの呼吸と食べものを伝える。
田舎の本屋で購入

このカテゴリーの記事 - 日本の食生活全集
おすすめの記事