聞き書 徳島の食事 吉野川北岸の食より
夏の祗園さんをはじめ、人の集まりには必ずといっていいほど食べるうどんである。
粉一貫目で打つときは、一升の水に塩を茶わんに軽く一杯ほど入れて塩水をつくり、粉に入れて混ぜる。こねてこねて、三〇分ほどこね、ふ(ねばり)が出て手にくっつかなくなると大きな板の上にとり、めん棒でのばす。何回もくり返しながら、一分ほどの薄さになったら折りたたみ、なぎたん(包丁)で細く切り、大釜でゆでる。
大釜でゆでると、たらいのように大きなはんぼに移し、熱いうどんをねぎの薬味で、じんぞく(かまつか)でとっただしにつけて食べる。
出典:立石一 他. 日本の食生活全集 36巻『聞き書 徳島の食事』. 農山漁村文化協会, 1990, p.41-41