聞き書 富山の食事 砺波散居村の食より
■土用
土用は、農家にとって、ゆっくり骨休みができる季節である。最も暑い時期なので疲れもひどく、元気をつけなければと、このころは、どじょうやうなぎの料理をする。このほかに、やつめうなぎ、ごり、うごい(うぐい)、つちくずり(すなやつめ)などの川魚で力をつける。最も多く食べるのは、どじょうのかば焼きである。
どじょうのかば焼きはひまがかかるので、ほとんどの家はかば焼き屋か魚屋から買う。また、どじょうはかば焼きにするほか、甘からい汁の中でごんぼと一緒に煮て、卵のといたものをかけて食べる家も多い。川魚は、ぶったいと呼ばれる竹製の網をつくり、小川に仕掛けてとる。
写真:土用に食べるどじょうのかば焼き
出典:堀田良 他. 日本の食生活全集 16巻『聞き書 富山の食事』. 農山漁村文化協会, 1989, p.31-33