土用はどじょうのかば焼きで元気をつける―晴れ食・行事食

連載日本の食生活全集

2021年07月20日

聞き書 富山の食事 砺波散居村の食より

土用
土用は、農家にとって、ゆっくり骨休みができる季節である。最も暑い時期なので疲れもひどく、元気をつけなければと、このころは、どじょうやうなぎの料理をする。このほかに、やつめうなぎ、ごり、うごい(うぐい)、つちくずり(すなやつめ)などの川魚で力をつける。最も多く食べるのは、どじょうのかば焼きである。
どじょうのかば焼きはひまがかかるので、ほとんどの家はかば焼き屋か魚屋から買う。また、どじょうはかば焼きにするほか、甘からい汁の中でごんぼと一緒に煮て、卵のといたものをかけて食べる家も多い。川魚は、ぶったいと呼ばれる竹製の網をつくり、小川に仕掛けてとる。

写真:土用に食べるどじょうのかば焼き

 

出典:堀田良 他. 日本の食生活全集 16巻『聞き書 富山の食事』. 農山漁村文化協会, 1989, p.31-33

関連書籍詳細

日本の食生活全集16『聞き書 富山の食事』

堀田良 他編
定価3,038円 (税込)
ISBN:9784540890048
発行日:1989/10
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5 376頁

蜃気楼があらわれ、ほたるいかが群遊する富山湾は地元の人たちの魚溜め。立山から発する水が開いた平野は富山の人たちの米びつ。生きのいい魚と米と水がつくる富山の食。
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