聞き書 富山の食事 富山周辺の食より
■お盆
八月十三日から十五日までのお盆には、盆踊りと墓まいりのために親せきの人たちが集まる。夏は食べものが腐りやすいので、あまりたくさんのごちそうはつくらないが、さすのこんぶじめ、あべかわもち、しろえび(しらえび)入りそうめんなどを出す。
しろえびは、富山湾だけでとれる、体長が二寸弱の平たい透きとおったえびである。火を通すと乳白色になり、甘みを含んだだしが出る。お盆には魚屋に注文し、しろえびとたまねぎのだしをつくって、そうめんにかける。
親せきの人たちが帰り、お盆がすむと、嫁は一〇日間くらいちょうはい帰りをし、心身ともにゆっくり骨休めをする。そして婚家に帰るときは、大きなみやげもちをかち、実家の母親がかついで一緒に送ってくる。
写真:盆のそうめん
しろえびとたまねぎ入りのだしをかけて。
出典:堀田良 他. 日本の食生活全集 16巻『聞き書 富山の食事』. 農山漁村文化協会, 1989, p.189-189