聞き書 宮崎の食事 霧島北麓の食より
からいもの草取り、田の草取りに精を出すのも「盆ずいにすませんな」(お盆までにすませなければ)と思えばこそ。そのお盆が近づくと、ちょうどとうもろこしやからいもの初ものがとれる。
■お盆
八月十五日のしょろさま(ご先祖)に供えるだごは、午後三時ごろのお茶の時間にあげるのと、帰られるときにおみやげに供えるのと、二種類をつくる。
大きいだごは、砂糖、塩で味をつけたきな粉をまぶしつけ、午後三時ごろ、お茶とともに供える。小さいだごは何もつけないで、夜、おしょろさまと最後のお別れをしてお墓にお送りするときに、そうめんと線香とを添えて供える。おしょろさまは、そうめんでだごを結んでからげ、線香を杖にしてもどって行かれるといわれる。
お盆はそのほか、白飯、吸いもん、砂糖を入れて甘く煮た煮小豆、煮しめ、酢のもんなどをつくり、神棚や仏壇に供え、おまいりに来た人にもその料理でもてなす。また、大豆粉ともち米の粉をこねて串に巻きつけて焼いた「こづっだご」を煮しめや吸いもんに入れる。
写真:お盆のお供え
膳内:〔上〕煮小豆、煮しめ。〔中〕三色なます。〔下〕白飯、そうめんのお吸いもん/膳外:〔左から〕生のとうもろこし、しょろだご、からいも、焼酎
出典:田中熊雄 他. 日本の食生活全集 45巻『聞き書 宮崎の食事』. 農山漁村文化協会, 1991, p.212-213