たらおさの煮つけ

連載日本の食生活全集

2021年08月06日

聞き書 大分の食事 日田盆地の食の食より

日田では盆前になると、魚屋の店頭にたらおさが並ぶ。たらおさは、本だらの胃とえらの部分をかちんかちんに干したもので、盆には必ずこの煮つけをどこの家でもつくる。
たらおさは二日くらい前から水につけ、何度も水をかえながら、やわらかくなったら一寸長さに切って水煮し、一度水をすててきれいに洗う。これをなべに入れ、水をひたひたに入れてゆっくりやわらかくなるまで煮て、砂糖と醤油でやや濃いめに味をつける。干したけのこも水にもどして一緒に煮る。
盆の前日には、あちこちの家からたらおさを煮るにおいが漂い、精霊さん迎えの準備に心せく。

 

出典:波多野道義 他. 日本の食生活全集 44巻『聞き書 大分の食事』. 農山漁村文化協会, 1992, p.224-224

関連書籍詳細

日本の食生活全集44『聞き書 大分の食事』

波多野道義 他編
定価3,038円 (税込)
ISBN:9784540920011
発行日:1992/6
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5 384頁

豊後・大分は、その名のとおり「豊の国」。県内各地には名物料理が目白押し。大分市の「ほうちょう」、豊後水道沿岸の「さつま」「かまぼこ」、竹田の頭料理、臼杵の黄飯、きらすま飯、日田盆地のがめ煮……。
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