聞き書 佐賀の食事 有明海沿岸の食より
蒸し暑い夏、さらさらとした茶がゆや冷たいそうめんは、のど通りがよく食もすすむ。
■夕―茶がゆ、えつの刺身、えつの煮つけ、かぼちゃ煮しめ
えつは生きているものを刺身にし、死んだものは煮つけにする。えつの刺身は甘みがあり、食がすすむ。刺身や煮つけは、暑さでまいったからだに精がつく。
かぼちゃも家でつくっている。夏は青ものが少ないので、かぼちゃがとれると助かる。いりこ、干しえびなどを入れて炊いたのをよく食べる。
夏の夜も、いたんだ漁網の繕いは男女の作業である。ゆで菱をつまみながら、精を出す。
写真:夏の夕食
上:かぼちゃ煮しめ、えつの煮つけ/下:茶がゆ、えつの刺身と刺身醤油
出典:原田角郎 他. 日本の食生活全集 41巻『聞き書 佐賀の食事』. 農山漁村文化協会, 1991, p.71-73