赤えいで五穀豊穰を祝う秋祭り―晴れ食・行事食

連載日本の食生活全集

2021年11月10日

聞き書 大阪の食事 河内(旧大和川流域)の食より

秋祭り(卯辰祭り)
今年の五穀豊穣を祝う恩智神社の神事である。十一月下旬の卯と辰の日に行なわれるので、卯辰祭りともいわれる。
神社の御供田から収穫した米で、村の人たちが集まって神さまのお供えもの「人形」をつくる。うるち米四斗ともち米五升を力を合わせて精白し、粉にし、一握りずつのだんごをつくる。中心になるだんごには大豆を包み、これらを油で揚げ、人の形に組み合わせる。恩智神社はもともと食の神さまであり、この秋祭りは、五穀豊穣を神とともに祝う神事である。
一方、各家庭では、神社近くで開く魚市で赤えいやかまぼこを買い求め、赤えいの煮つけ、えいのきもをだしにしたえいのおから、かまぼこ、あえもち、ふなとこんぶの甘煮などのごちそうをつくり、豊作を祝う。「人形」は各家にも配られ、焼いたりおつけに入れたりして食べる。

写真:恩智神社の秋祭りに供える「人形(ひとがた)」

 

出典:上島幸子 他編. 日本の食生活全集 27巻『聞き書 大阪の食事』. 農山漁村文化協会, 1991, p.162-162

関連書籍詳細

日本の食生活全集27『聞き書 大阪の食事』

上島幸子 他編
定価3,038円 (税込)
ISBN:9784540900099
発行日:1991/2
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5 392頁

商人の町・大阪は、日本中の一流の物産が集まる「天下の台所」。船場、天満の商家、月給取り、近在の農家・漁家の食卓に、「食い倒れ」の真相を探る。写真を添えて料理を再現した食の歳時記。
田舎の本屋で購入

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