正月菜とけずり節の雑煮で年明けを祝う―晴れ食・行事食

連載日本の食生活全集

2021年12月21日

聞き書 岐阜の食事 南濃輪中の食より

正月
家の中の仕事からも野良仕事からもすべて解放され、朝には家族全員がそろってごちそうを囲み、新年を祝う。
雑煮は、角もちと正月菜(こまつな)を醤油汁で煮こみ、上からけずり節をかけたものである。よそではいろいろな具を入れるとも聞き、それに比べれば質素きわまりないが、もちはなによりのごちそうである。ふなのあらめ巻きはこぶ巻きがわりで、このあたりでは正月に欠かせない料理の一つである。重箱には里芋、れんこん、こんにゃくなどの煮しめ、黒豆などが色を添え、大皿にはふなの尾頭つき(姿煮)が盛られる。

写真:正月のごちそう
ふなのあらめ巻き、ふなの姿煮、雑煮、里芋とれんこんの煮もの。重箱の中は田作り、数の子、黒豆、こんにゃく

 

出典:森基子 他編. 日本の食生活全集 21巻『聞き書 岐阜の食事』. 農山漁村文化協会, 1990, p.271-273

関連書籍詳細

日本の食生活全集21『聞き書 岐阜の食事』

森基子 他編
定価3,038円 (税込)
ISBN:9784540900044
発行日:1990/5
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5 384頁

飛騨は山の恵み、美濃は川の恵み豊かな国。米と繭の国だが、雑穀や山菜、木の実も大切な食糧。味噌・漬物・どぶろくなど発酵食品がよく発達している。山・川の恵みを受けた八つの地区の暮らしと食を収録。
田舎の本屋で購入

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