聞き書 長野の食事 諏訪盆地の食より
武田信玄の兵糧に用いられたともいわれる、冬の凍みを利用したお菓子である。長く保存できるので、冬の間にたくさんつくり、野良で食べたり、子どものおやつにしたりする。
切りわけたお凍り菓子は、陰干しにして徐々に乾燥させるのがこつで、一気に干しあげると、ぱさぱさに仕あがり、砕けやすくなる。
梅漬のしそ、黒ごま、のりなどを入れて目先を変える。そのままでもおいしいが、炒ったり、油で揚げたりしても違った味わいがある。
写真:お凍り菓子(3)
1晩おくと、凍って切りやすくなる。1分半くらいの厚さに切り、日陰で凍らせながら乾かす。九分どおり乾いたら、日光にあてて干しあげる。
出典:向山雅重 他編. 日本の食生活全集 20巻『聞き書 長野の食事』. 農山漁村文化協会, 1986, p.162-162