かり焼き

連載日本の食生活全集

2022年01月26日

聞き書 岐阜の食事 古川盆地(国府)の食より


雁の模様が浮かび出た鉄製のかり焼きせんべいの型をおきで熱し、たね油をぼろ布にしみこませてよくふく。白もちを二枚にそぎ、さらに四つに切り、焼き型にはさんで両面を焼く。小さなもちが大きくふくらんで香ばしく焼きあがる。
年寄りたちは、冬の夜長をひなた(いろり)で暖をとりながら、ときどき手を動かして、正月用や、冬の夜のお説教を聞く催しの招待のおりの茶菓子にと、焼き続ける。湿気を帯びないよう缶に入れて保存する。
うどん粉に赤砂糖を混ぜて練り、この型で焼いてせんべいにすることもある。

写真:寒いときのおやつ、かり焼き

 

出典:森基子 他編. 日本の食生活全集 21巻『聞き書 岐阜の食事』. 農山漁村文化協会, 1990, p.38-39

関連書籍詳細

日本の食生活全集21『聞き書 岐阜の食事』

森基子 他編
定価3,038円 (税込)
ISBN:9784540900044
発行日:1990/5
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5 384頁

飛騨は山の恵み、美濃は川の恵み豊かな国。米と繭の国だが、雑穀や山菜、木の実も大切な食糧。味噌・漬物・どぶろくなど発酵食品がよく発達している。山・川の恵みを受けた八つの地区の暮らしと食を収録。
田舎の本屋で購入

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