聞き書 滋賀の食事 琵琶湖沖島の食より
もち米ばかりだともったいないといっては、冬の間にもち類が少なくなるとこわもちをつくる。
もち米とうるち米を半々の割合で五、六升にし、一晩水につけておく。このとき、塩ひとにぎり入れておく。水切りして蒸し、臼で搗く。大豆やこんぶを入れる家もある。大豆は、米を蒸すときに一緒に入れる。大豆やこんぶを入れるとおいしいが、固くなるので年寄りはいやがる。
搗きあがったら、二臼分のこわもちを、一つのお重(縦一尺三寸、横二尺六寸くらいの四角い入れもの)にまん中で仕切りをして流し入れる。固くなってきたら四つに切り、さらに薄く切って網で焼き、砂糖醤油をつけたり、黒砂糖を包んだりしてお茶の子として食べる。
写真:冬のこびり茶
皿:〔左から〕小米だんご、こわもち/鉢:さとまめ
出典:橋本鉄男 他編. 日本の食生活全集 25巻『聞き書 滋賀の食事』. 農山漁村文化協会, 1991, p.41-42