春の香り豊かな磯ものや山菜がお膳に―日常の食生活

連載日本の食生活全集

2022年04月15日

聞き書 大分の食事 豊後水道沿岸の食より

昼―ふかしいも、麦飯かひじき飯、唐人干し、こんこ
魚炒りで忙しいと朝飯と昼飯が一緒になるので、昼飯が早くなる。前夜の、ひじきにしゃくしななどを入れて油で炒めたひじき煮の残りをそのままお菜(おかず)にするか、麦飯に混ぜてひじき飯にするときもある。
春も終わりになると生いもがなくなるので、かんくろ(さつまいもの切干し)を炊いて釜の中で練ったねりや、かんくろの粉のだんごに、小いわしやしゃくしななどを入れた醤油味のだんご汁をつくって飯の足しにする。
漁があったときは、いわしやぜんごなどを手開きのつくりにして食べる。漁のないときには、唐人干しや割干しを焼いて食べる。割干しは、いわし、むろあじなどを背開きにし、塩をして日干しにしたものである。

写真:春の昼飯
膳内:〔上〕唐人干し、漬物(こんこ、浅漬)。〔下〕麦飯、ひじきの煮もの/膳外:ふかしいも

 

出典:波多野道義 他編. 日本の食生活全集 44巻『聞き書 大分の食事』. 農山漁村文化協会, 1992, p.68-69

関連書籍詳細

日本の食生活全集44『聞き書 大分の食事』

波多野道義 他編
定価3,038円 (税込)
ISBN:9784540920011
発行日:1992/6
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5 384頁

豊後・大分は、その名のとおり「豊の国」。県内各地には名物料理が目白押し。大分市の「ほうちょう」、豊後水道沿岸の「さつま」「かまぼこ」、竹田の頭料理、臼杵の黄飯、きらすま飯、日田盆地のがめ煮……。
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