聞き書 大分の食事 豊後水道沿岸の食より
■昼―ふかしいも、麦飯かひじき飯、唐人干し、こんこ
魚炒りで忙しいと朝飯と昼飯が一緒になるので、昼飯が早くなる。前夜の、ひじきにしゃくしななどを入れて油で炒めたひじき煮の残りをそのままお菜(おかず)にするか、麦飯に混ぜてひじき飯にするときもある。
春も終わりになると生いもがなくなるので、かんくろ(さつまいもの切干し)を炊いて釜の中で練ったねりや、かんくろの粉のだんごに、小いわしやしゃくしななどを入れた醤油味のだんご汁をつくって飯の足しにする。
漁があったときは、いわしやぜんごなどを手開きのつくりにして食べる。漁のないときには、唐人干しや割干しを焼いて食べる。割干しは、いわし、むろあじなどを背開きにし、塩をして日干しにしたものである。
写真:春の昼飯
膳内:〔上〕唐人干し、漬物(こんこ、浅漬)。〔下〕麦飯、ひじきの煮もの/膳外:ふかしいも
出典:波多野道義 他編. 日本の食生活全集 44巻『聞き書 大分の食事』. 農山漁村文化協会, 1992, p.68-69