聞き書 千葉の食事 利根川流域の食より
一年のうちでもっとも厳しい仕事の続くこの季節は、からだの疲れを少しでもとるためにたっぷり食べる。遠い田での野良仕事には、重箱にたくさんの塩むすびと漬物を入れて持って行き、あぜにむしろを敷いて昼飯やお茶にする。
なんのごちそうがなくとも、野鳥のさえずりの下でおなかをすかせて食べるその塩むすびの味は格別である。
■お茶どき―塩むすび、たくあんこうこ
朝つくっておいたにぎりこぶしぐらいの大きな塩むすびと、漬物を食べる。むすびにごまがかかっていれば上等だ。つくりおきしておいたかきもちやあられ、種籾の残りを炒って砂糖醤油をからめたこめりも、一緒にしょいかごに入れて持って行き、田のあぜで食べる。
写真:春のお茶どき
塩むすび、あられ、かきもちで腹ごしらえする。
出典:高橋在久 他編. 日本の食生活全集 12巻『聞き書 千葉の食事』. 農山漁村文化協会, 1989, p.286-288