あさりのお澄ましにあふれる春―日常の食生活

連載日本の食生活全集

2022年04月20日

聞き書 大阪の食事 大阪月給とりの食より

八百屋にどっとあふれるふき、たけのこ、えんどう豆、それにわかめは家中の好物。えんどうごはん、たけのこごはん、ふきとわかめ、たけのことわかめ、えんどう豆とわかめとたけのこの炊き合わせは、春中、くり返し食卓にのぼる。庭のさんしょうの木の芽をぱんとたたいて、吸いものや炊き合わせに添える。
若ごんぼ(葉ごぼう)も、この季節だけのもの。ごぼうの根より茎の部分が多い若ごんぼを、厚揚げと炊いたりする。ほんの半月ばかりで、いつの間にか八百屋の店先から姿が消える。季節感を強く感じる食べものの一つだ。
夕―えんどうごはん、生節と焼き豆腐の炊き合わせ、はまぐりのお澄まし、漬物
生節は、ふき、たけのこと炊き合わせてもおいしい。甘からく炊いた生節の身をほぐして、押しずしをつくる家もある。
春は貝がおいしい季節。はまぐりとあさりのお澄ましは、よく食卓にのぼる。

写真:春の夕食
えんどうごはん、生節と焼き豆腐の炊き合わせ、はまぐりのお澄まし

 

出典:上島幸子 他編. 日本の食生活全集 27巻『聞き書 大阪の食事』. 農山漁村文化協会, 1991, p.115-116

関連書籍詳細

日本の食生活全集27『聞き書 大阪の食事』

上島幸子 他編
定価3,850円 (税込)
ISBN:9784540900099
発行日:1991/2
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5 392頁

商人の町・大阪は、日本中の一流の物産が集まる「天下の台所」。船場、天満の商家、月給取り、近在の農家・漁家の食卓に、「食い倒れ」の真相を探る。写真を添えて料理を再現した食の歳時記。
田舎の本屋で購入

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