聞き書 福井の食事 福井平野の食より
夏のはじめ(六月下旬ころ)、新麦がとれると粉にひいて、ふやきやおやきをつくる。炒りなべで焼くおやきに対して、ふやきは蒸してつくる。福井では、蒸すことをふかすというところから、ふやきというようになった。お盆のお墓まいりやおもてなしには、どこの家でもこれをつくる。
小麦粉ともち米粉を六対四の割合に混ぜて、塩をほんの一つまみ入れ、水で耳たぶくらいのやわらかさにこね、一時間くらいねかせる。みょうがの葉は幅広いものを選び、水洗いして上下を切り落としておく。こねたもちを適当な大きさにちぎり、小豆あんを包み、みょうがの葉でくるみ、火が通るまで蒸す。みょうがの葉の香りと皮のぷちぷちした歯ざわりがなんともいえない。
写真:ふやき
鬼の朔日(7月1日)やお盆のごちそうで、みょうがの葉の香りがなんともいえない。
出典:小林一男 他編. 日本の食生活全集 18巻『聞き書 福井の食事』. 農山漁村文化協会, 1987, p.45-45