聞き書 石川の食事 加賀平野の食より
七月土用につくるもちで、ささげ豆がもちに飛びついたようにいっぱいつくので、「ささげのとびつき」ともいう。
なべに入れたささげ豆に水を加えてすぐに火にかけ、ささげの腹が切れないように弱火でことこととやわらかく煮て塩味にする。この中に搗きたてのもちをちぎって入れ、ささげ豆をまぶしつける。搗いたもちにすぐにつけないと表面が乾き、豆がつかない。
ささげのほんのりとした甘みと塩味が、あっさりとして夏のもちらしい趣をかもし出している。
出典:守田良子 他. 日本の食生活全集 17巻『聞き書 石川の食事』. 農山漁村文化協会, 1988, p.96-97