聞き書 群馬の食事 奥多野の食より
ちゃがしは毎日のように食べる。朝はん前や小昼飯に食べるほか、山で働くときや、遠出するときのお弁当にもする。水分が少ないので夏でもすえにくく、手軽に持っていける。
ちゃがしっこなでいろんなちゃがしをつくる。ふだんは味噌を混ぜたり、味噌と一緒に青ねぎのみじん切りやしそっぱ、しその実などを混ぜこんだり、白菜やしゃくしな(体菜)などの古漬を水にさらしてしぼって混ぜこんだものなどをよくつくる。ときには味噌または砂糖味噌をあんこのように入れたものをつくるが、このあんが小豆あんや栗あんになると、もうごちそうである。
つくり方は、まず、ちゃがしっこなをこね鉢に入れる。味噌や青ねぎ、古漬のみじん切りなどを混ぜあわせるときは、ここで入れ、水でこねる。適当にちぎって丸く形をつくる。味噌あんやあんこを丸めて入れるときは、ここで包みこむ。熱したほうろくで両面を焼いてまわりを固めてから、いろりのぬく灰の中に埋め、芯まで火が通るようにじっくりと焼く。焼いているうちにふくれて、直径二寸半、厚さ七分くらいにはなる。焦げすぎないよう火加減に気をつける。
写真:ちゃがし
ほうろくで軽く焼き、いろりの灰の中で焼きあげる。
出典:志田俊子 他. 日本の食生活全集 10巻『聞き書 群馬の食事』. 農山漁村文化協会, 1990, p.184-185