聞き書 東京の食事 武蔵野の食より
夏の来客用の菓子である。
先に小豆を煮る。あくが出るのでその水をかえ、もう一度煮てやわらかくなったら砂糖を入れる。この小豆を水で煮溶かした寒天に入れ、砂糖とかくし味の塩で甘めに味つけし、食紅で薄い桃色になるていどに色をつけ、「流しこみ」とよばれる容器に入れ、井戸で冷やす。どんな容器に入れてもよいが、水分がはじける(余分の水分を吸いとる)ので木製のものがよい。
ガラスの器にのせて客に出す。
材料の割合は、寒天二本に水を四合くらい、小豆は一合くらいである。砂糖は、味をみながら適当に入れるが、ちりれんげで三杯くらいだろうか。
出典:渡辺善次郎 他. 日本の食生活全集 13巻『聞き書 東京の食事』. 農山漁村文化協会, 1988, p.224-224