寒天

連載日本の食生活全集

2022年07月15日

聞き書 東京の食事 武蔵野の食より


夏の来客用の菓子である。
先に小豆を煮る。あくが出るのでその水をかえ、もう一度煮てやわらかくなったら砂糖を入れる。この小豆を水で煮溶かした寒天に入れ、砂糖とかくし味の塩で甘めに味つけし、食紅で薄い桃色になるていどに色をつけ、「流しこみ」とよばれる容器に入れ、井戸で冷やす。どんな容器に入れてもよいが、水分がはじける(余分の水分を吸いとる)ので木製のものがよい。
ガラスの器にのせて客に出す。
材料の割合は、寒天二本に水を四合くらい、小豆は一合くらいである。砂糖は、味をみながら適当に入れるが、ちりれんげで三杯くらいだろうか。

 

出典:渡辺善次郎 他. 日本の食生活全集 13巻『聞き書 東京の食事』. 農山漁村文化協会, 1988, p.224-224

関連書籍詳細

日本の食生活全集13『聞き書 東京の食事』

渡辺善次郎 他編
定価3,850円 (税込)
ISBN:9784540870989
発行日:1988/2
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5判上製 384頁

昭和初期、巨大都市・東京人は何を食べ、どう暮らしていたか。下町と山の手、都市部と農村部に目配りしつつ、深川・本所・日本橋から世田谷・葛飾・大森・奥多摩・伊豆大島などでの四季折々の食事の世界を再現する。
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