聞き書 滋賀の食事 湖北余呉の食より
■お盆
八月十三日、おしょらい(精霊)さんをお迎えする迎えだんごをつくる。これは、しん粉をこねて蒸してつくる。仏壇には、盆花、みそはぎ、かるかやを飾り、なす、きゅうりなどの野菜、だんごをお供えする。
十四日は、ぼたもちを小鉢に一杯供える。落ちつきぼたもちという。里帰りした人たちには、そうめんやきゅうりなます、三度豆の煮つけ、新じゃがの煮つけ、かぼちゃの煮つけなど、豊富な野菜を使ってもてなす。二宮家は禅宗なので魚は使わないが、お盆は家の人ものんびりできるので、近くの川でうなぎをとってかば焼きにし、帰ってきた人に食べさせることもある。
もう一つ、おしょらいさんにお供えするものに、ひょう(すべりひゆ)のおひたしがある。おしょらいさんの言い伝えに「娘三人いたら(あしらいがよかろうから)ひょうのおひたしが食べたい」といわれたそうで、ごまあえにすると香ばしくておいしい。
十五日にはもち米とうるち米でつくった送りだんごをお供えし、夕方お供えした野菜とあさぎ(麻幹)のはし七ぜん半とともに、線香に火をつけて川に流す。あさぎのはしをたくさんつけるのは、餓鬼たちに施すためといわれている。
写真:お盆のごちそう
焼きなんば、じゃがいもと三度豆の煮つけ、きゅうりなます、そうめん、つけ汁
出典:橋本鉄男 他編. 日本の食生活全集 25巻『聞き書 滋賀の食事』. 農山漁村文化協会, 1991, p.224-225