屋敷まわりの夏野菜をおっけや煮ものに―日常の食生活

連載日本の食生活全集

2022年08月25日

聞き書 鹿児島食事 鹿児島市(商家)の食より

別宅の屋敷まわりが広くて、ざくろ、柿、みかん、びわ、きんかんなどの果樹を植えているが、野菜も、なす、きゅうり、にがごい(にがうり)、にんじん、たまねぎ、じゃがいも、といもがら(里芋の近種で茎を食べる)、みがしっ(同じく里芋の近種)、つが(とうがん)などをつくり、毎日の食事に利用している。朝の早い旦那さあと嫁の萩乃さんが花づくりに興味があり、土いじりが好きなので、野菜も花もよいものができる。
夜―からいも入り麦ごはん、お澄まし、つがと豚肉の煮つけ、たいの刺身、焼きなす
夏は、かぼちゃ、すいか、にがごい、きゅうり、つがと、野菜はうりの類が多い。つがと豚肉はよく合い、一緒に煮つけにする。つがは煮ると小さくなるので、大きめに切る。砂糖、薄口醤油、地酒で味をつける。おかずはほかに、焼きなすとたいの刺身をつける。お澄ましは、しいたけ、うずら卵、かまぼこを入れる。

写真:夏の夕食
上:〔左から〕焼きなす、つがと豚肉の煮つけ、たいの刺身/下:からいも入り麦ごはん、お澄まし

 

出典:岡正 他編. 日本の食生活全集 46巻『聞き書 鹿児島の食事』. 農山漁村文化協会, 1989, p.26-28

 

関連書籍詳細

日本の食生活全集46『聞き書 鹿児島の食事』

岡正 他編
定価3,850円 (税込)
ISBN:9784540890055
発行日:1989/12
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5判上製 384頁

鹿児島は南方食文化の北端。いも・鶏・糸瓜・豚の調理に南方の食習慣が息づく。海上の味=ヤポネシア構想の主舞台の陽光あふれる南国の味。
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