秋祭り、祷屋渡し、庭あげ―晴れ食・行事食

連載日本の食生活全集

2022年08月26日

聞き書 岡山食事 瀬戸内沿岸・島しょの食より

旧暦八月一日の八朔には八朔だんごをつくる。奉公人の追い出しだんごなどといい、作男や子守りの交代日である。
同じ町内でも牛窓港近辺の村では、八朔にひな祭りをするところがある。初びなの家では「ししこま」という米粉の練りもの細工をつくる。ただ米(うるち米)の粉を水で練り、蒸すかゆでるかした後、臼で搗く。これに紅、緑、黄の色粉を練りこみ、たい、たこ、いか、みょうが、なす、なんきんなど、さまざまな形のものをつくる。子どもたちは初びなの家へししこまを借りにいく。女の子が生まれたとき、同じものをつくって返すという意味で「借りにいく」といわれるが、実はもらってきて二、三日のうちに焼いて食べる。子どもの厄を分けてとってもらう意味がある。

写真:ししこま

 

出典:鶴藤鹿忠 他編. 日本の食生活全集 33巻『聞き書 岡山の食事』. 農山漁村文化協会, 1985, p.37-38

 

関連書籍詳細

日本の食生活全集33『聞き書 岡山の食事』

鶴藤鹿忠 他編
定価3,850円 (税込)
ISBN:9784540850462
発行日:1985/12
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5判上製 382頁

北の中国山地から南の瀬戸内の島々まで、多様な地形をもつ岡山の食は、あらゆる食素材がそろう日本の食文化の縮図であり、1年のうち60日は晴れ食・行事食という豊かさ。
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