呉汁

連載日本の食生活全集

2022年08月30日

聞き書 埼玉食事 東部低地の食より


九月の早生豆のまめぶち(豆打ち)のあと雨が降ると、寄せ残しに庭の大豆がふやけて大きくなって目立つ。それをひろってつくるのが、とれ秋に一番早くつくる呉汁。その後は一夜ひやした大豆を使う。
よくしぼったふきんの上にあたり鉢(すり鉢)をのせ、ひやした豆を気長にすって呉をつくる。あたり鉢が動かないように、子どもたちが鉢の端を持つこともある。
とうなすやねぎ、大根、にんじん、里芋を切って油で炒め、湯をさして味噌汁をつくる。その中に、できた呉を入れて煮る。呉が吹きこぼれないように、先に味噌で味つけをしておく。二つかみくらい豆のまま汁の中に入れると、豆の歯ごたえがあっておいしい。

 

出典:深井隆一 他編. 日本の食生活全集 11巻『聞き書 埼玉の食事』. 農山漁村文化協会, 1992, p.231-231

 

関連書籍詳細

日本の食生活全集11『聞き書 埼玉の食事』

深井隆一 他編
定価3,850円 (税込)
ISBN:9784540910050
発行日:1992/2
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5判上製 384頁

「あさまんじゅうに昼うどん」は物日におけるきまりもの。小麦、さつまいも、狭山茶、深谷ねぎ、岡部の大根など自慢の作物もいっぱい。街道のうまいもの、鋳物工場の給食まで収録。
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