お山が近めばきのこの季節―日常の食生活

連載日本の食生活全集

2022年08月31日

聞き書 青森の食事 津軽の食より

夕―白米飯、大根と油揚げの味噌汁、さんまの塩焼き、なすのからし漬
魚は、脂ののったさんまが目立つようになって、小なすのからし漬やきゅうりのなますが毎日のおかずとなる。
山かけがすぎると急に空気も澄み、しのぎやすくなり、岩木山がぐーっと近くなる。「お山が近くなりしたじゃ」が、このころのあいさつになる。
大きなかけご(きのこかご)を背負ったもんぺ姿の女子衆が、湯段温泉の奥の中村川の上流まで入ってきのこをとってくる。まいだけ、さもだし(ならだけ)、なめこ、むきだけ、ぬえど(えのきだけ)、ますだけ、赤きのこ、しいたけなどを、かけごいっぱいとって、夕方早めに引きあげ、その日のうちにえり分けて塩漬にしたり、干して保存用にする。まいだけのようないいきのこになると、とれる場所は子どもにも知らさず、毎年自分の場所としておく。

 

出典:森山泰太郎 他編. 日本の食生活全集 2巻『聞き書 青森の食事』. 農山漁村文化協会, 1986, p.33-36

 

関連書籍詳細

日本の食生活全集2『聞き書 青森の食事』

森山泰太郎 他編
定価3,850円 (税込)
ISBN:9784540860324
発行日:1986/8
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5判上製 384頁

二つの藩の伝統を受けつぐ青森県は、二つの半島、三つの海、三つの山脈を頂く。特色ある六つの地域で海の幸・山の幸の四季おりおりのくらしと料理法をちみつに聞き書き。
田舎の本屋で購入

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